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[全文公開] 130万円の壁と事業主の証明

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厚生労働省が9月末に公表した「年収の壁・支援強化パッケージ」( №3772 )のうち、130万円の壁への対応策とされた“事業主の証明による被扶養者認定の円滑化”の適用が、10月20日からスタートした。適用に当たっては、被保険者が、所定の証明書を自身の勤務先を通じて各保険者に提出する必要がある(厚労省「事業主の証明による被扶養者認定Q&A」Q3-1)。

いわゆる130万円の壁とは、会社員(被保険者)の配偶者等が従業員100人以下の企業で勤務している場合、年収130万円以上となると、国民年金及び国民健康保険において社会保険料が生じることから、就業調整しようとする現象のこと。年収130万円未満であれば、配偶者等は「被扶養者」として認定され、社会保険料が発生しない。

“事業主の証明による被扶養者認定の円滑化”では、被扶養者が、残業発生等により一時的に年収130万円以上となったとしても、直ちに被扶養者認定を取り消すのではなく、「被扶養者の収入確認に当たっての『一時的な収入変動』に係る事業主の証明書」を各保険者に提出することで、原則として連続2回まで引き続き扶養者認定が可能となる。

同証明書を提出するには、まず、被扶養者の勤務先から同証明書を交付してもらうことが必要だ。

例えば、X社の従業員である夫(被保険者)の妻(被扶養者)が、Y社でパート従業員として勤務している場合を想定する。妻は、Y社に同証明書を【被保険者・被扶養者記載欄】記入済みの状態で提出して交付を依頼することで、Y社から【被扶養者を雇う事業主の記載欄】が記入された状態の同証明書の交付を受けることができる。その後、夫は、妻がY社から交付を受けた同証明書をX社に提出すればよい。

なお、同証明書は、被扶養者の収入確認の時期に合わせて被扶養者が取得することになるが、収入確認のタイミングは各保険者によって異なるため、加入先の収入確認時期を確認しておくとよいだろう。