※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] 106万円の壁と計画書の事後提出

( 77頁)

いわゆる年収の壁対策のうち、106万円の壁では、被用者保険の新適用時に労働者の収入を増加させる取組を行った事業者に対して助成金が支給される。事業者は原則、取組実施前にキャリアアップ計画書等を所轄労働局に提出する必要があるが、一定の場合は、例外的に取組実施後に同計画書等を提出することもできる。

106万円の壁対策では、キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」の3メニューのうち、いずれかのメニューの取組により労働者の収入を増加させた場合、中小企業であれば労働者1人につき最大50万円の助成金が支給される。支給を受けるには、あらかじめ作成した同計画書等を書面で、又は、専用サイトの雇用関係助成金ポータル(厚生労働省ホームページ)から電子で所轄労働局に提出。受給資格認定を受けた後に各取組を行い、取組実施後に支給申請を行う必要がある。

事業者は手続上、各メニューの取組実施日の前日までに所轄労働局に同計画書等を提出するのが原則となる。だが、同コースについては令和5年10月1日以降に新しく社会保険の適用となった労働者を対象に取組を行った場合にも遡及適用できるよう、一定の措置を講じたときには、取組実施後であっても同計画書等を提出することが可能だ。

一定の措置とは、令和5年10月1日から令和6年1月31日までの間に手当の支給等を就業規則に規定する等の措置を講じた場合のこと。同措置を講じていれば、同計画書等の提出をせずに、先行して取組を行ったとしても、令和6年1月31日までに同計画書等を提出することができる。

なお、事業者が令和6年2月1日以降に取組を実施する場合は、取組実施日の前日(令和6年1月31日)までに同計画書等の提出が必要となる。