※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] 電子申告義務と無申告加算税

( 61頁)

令和2年4月1日以後の開始事業年度から、資本金の額等が1億円超の法人等は法人税等の電子申告が義務化されている。電子申告義務化の対象法人(義務化対象法人)が誤って書面で申告書を提出した場合、その提出は無効なものとして取り扱われ、無申告加算税の対象となるケースがある。

法人税法上の義務化対象法人は、内国法人のうち、事業年度開始時に資本金の額等が1億円超の法人のほか、通算法人や投資法人等が該当する( 法法75の4 ②)。原則としてe-Taxにより電子申告を行わなければならないが、災害その他の理由で、e-Taxによる法定申告期限までの提出が困難な場合には、所轄税務署長に事前に申請書等を提出して承認を得ることで、例外的に書面申告により申告義務が履行されたものとみなされる( 法法75の5 ①)。

災害その他の理由とは、自然災害や停電等により企業内のインターネット環境に障害が生じ、オンライン手続が一時的に不能となった場合等をいう(e-Tax「電子申告の義務化についてよくある質問」【手続関係】3)。経営成績の悪化による休業に伴いインターネットの利用契約を解除した場合等も災害その他の理由の一つに含まれるが、申告方法の誤りなど人為的ミスは例外事由に当てはまらない。

例えば、義務化対象法人である通算法人が通算グループからの離脱を機に申告方法を誤認し、e-Taxで申告を行うべき期に所轄税務署に書面申告を行ったケースも例外には当たらず、書面申告そのものがなかったとみなされる。

なお、申告が無効となった場合に無申告加算税が課されるか否かは、書面による申告書の提出日ではなく、e-Taxによる申告書の再提出日が申告期限内か期限後かにより判定される。