遺贈の内容が相続税の申告期限までに明らかでない場合(1-1-11(30))
<問>
被相続人甲は,平成30年1月18日に満86歳でくも膜下出血により急死しました。
被相続人甲の相続人として,長男A,長女B,三男Cの3人がいます。
被相続人甲は亡くなるまで長男Aと同居しており,甲の身の回りの世話は長男Aとその家族(主に長男の次女D)がみていました。
甲の配偶者である乙は平成13年に死去しており,甲,長男A,長女B,三男Cが相続人としてそれぞれ遺産を相続しました。乙の相続開始以来,長男Aと長女B・三男Cの関係は悪くなり,現在に至るまであまり連絡をとることはありません。 遺産の分割協議もされていません。
長男の次女Dは,被相続人甲から遺言書の保管も頼まれていましたが,被相続人甲の死亡によるショックから,この件を思い出せずにいました。
長男Aは,相続開始から8か月後にその事実を知り,弁護士に依頼をして遺言書の検認の手続きを始めました。検認の手続きには,2,3か月要するといわれ,検認の完了は相続税の申告期限までには間に合わない状態です。
また,相続人間においては,全く話し合っておらず,他の相続人,長女B,三男Cはこの遺言書の存在を知りません。
今回,長男Aは長女B,三男Cには,検認が終わらないため,遺言書の存在を知らせない状態で,被相続人甲の遺産を未分割財産として申告しようと考えています。
そして,遺言書の検認が完了した時点で,遺言書に従って遺産を分割し,修正申告,または更正の請求を行おうと考えています。
以下の質問についてご教示ください。
① 今回,遺言書の検認が完了していないため,未分割として申告しようと考えています。 その場合には,今回の分割は未分割として取り扱われるのでしょうか。
② 今回の分割が未分割に当たらないとしたら,遺言書の検認が完了し,遺言書通りに遺産が分割された時に,小規模宅地の優遇規定は受けられないのでしょうか。 (3年以内の分割見込み書は期限内申告書と一緒に提出する予定です)
③ また,遺言書の検認後に分割された場合は,相続税法の特則の更正の請求の一定の事由(未分割財産が分割された,あるいは遺贈の遺言書が発見された)に該当するでしょうか。
④ 遺留分減殺請求権は,遺留分権利者が相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈のあったことを知った時から1年で,時効により消滅する( 民法1048条 )とあります。今回,長女B,三男Cは遺言書の存在を知らないまま申告した後で,遺言書の分割内容が自己の遺留分を侵害しているとして,遺留分の減殺請求を行うとした場合,今回の相続開始日は,被相続人甲が死亡した日(平成30年1月18日)なのでしょうか。 遺言書の存在を知った日とはならないのでしょうか。
質問①から③について
相続税の申告書の提出期限ま………
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