「リースと収益認識と概念的枠組みの関係」シリーズNo.6 リース再ED(2013)からみたわが国のリース会計基準

フジタ国際会計コンサルティング(株) 代表 藤田敬司

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1.スカイマークのリース債務

国内航空3位のスカイマークは,2015年1月末に民事再生法適用を申請した。元社長の西久保氏が“無借金経営”を誇っていた企業である。たしかに2014年3月期のバランスシートには,25億円のリース債務はあるが,有利子負債は見当たらない。それどころか,総資産708億円に対して純資産は407億円に達する。これだけみれば,元社長が財務体質の健全性を誇ったのは無理もない。ところが,2月4日の更正手続き開始日の説明会では負債総額は711億円と報告した。さらに,共益債権や優先債権への支払いを優先すると,一般更生債権に対する弁済率は数%から数十%に低下するという(2月23日付け日経新聞)。A380の購入契約キャンセルに伴う違約金を支払うことになれば,弁済率は更に低下する。そこで有価証券報告書に戻ると,B/S上のリース債務のほかに,次のように注記開示された簿外債務がある。

(1)所有権移転外ファイナンス・リース(格納庫等固定資産):18億円,

(2)オペレーティング・リースの未経過リース料:908億円(内1年以内:165億円)。

倒産した主因はLCC業界の競争激化であるが,倒産と同時...