基礎から学ぶ―IFRS保険会計 第14回 表示および開示

有限責任あずさ監査法人 公認会計士 蓑輪 康喜
有限責任あずさ監査法人 公認会計士 三添 明敏

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1.はじめに

公開草案「保険契約」(ED/2013/7,以下,「再公開草案」という)では,これまで日本の保険会社が作成してきた財務諸表の表示とは異なる表示体系,より多い開示項目が提案されている。入門編第5回で表示について取り上げたが,今回は,主に表示と保険契約に関連する主要な開示との関係を中心に概要を説明する。ただし,開示例は再公開草案では示されていないため,本文中の図表は,2012年11月のIASB審議におけるスタッフ・ペーパー3Aおよび3Cで示された開示例を参考に作成した。そのため,最終基準化された後の開示の実務動向に不確実性が残る点にご留意いただきたい。なお,本文中の意見に関する部分は筆者の私見である。

【IFRS保険契約の提案の全体像】

2.前提条件

本稿では,ビルディング・ブロック・アプローチで測定した場合の表示および開示について解説する。内容をイメージしやすいように,本稿を通じて1つの設例を用いて解説する。その前提条件は以下のとおりである。

前提条件:前期末に契約期間2年の保険契約を引受けた。保険料は全額受領済みである。当期において,新契約費の支払い及び保険事故が発生している。保険事...