ＩＦＲＳをめぐる動向　第73回　保険プロジェクトの動向（欧州CFOフォーラムの提案およびIASBによる対応）

あらた監査法人　公認会計士　川端　稔

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１．はじめに

本連載は，主に国際会計基準審議会（IASB）及び米国財務会計基準審議会（FASB）の月次合同会議等での討議内容に基づき，IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。

今回は，2013年６月20日にIASBから公表された「保険契約」に関する再公開草案に対する欧州CFOフォーラム（European Insurance CFO Forum）の代替案について解説します。

IASBは，保険契約フェーズIIにおいて，2014年１月より，再公開草案に対するコメントに基づき，保険契約についての再審議を行っています。無配当保険についての審議はひととおり終了し，有配当契約に関する契約についての審議をおこなう段階にあります。現在，教育セッションが続いています。IASBの有配当契約の会計処理の方向性について，欧州の保険業界から，反対の意見が述べられています。

このような状況の中，欧州CFOフォーラムは，2013年の再公開草案そしてその後のIASBの再審議の内容が，投資家に対して保険事業の業績を説明するための適切な基礎を提供しないこと，また，長期契約，特に有配当契約についての性質を適切に反映...