書評 小谷融著 「図解 実務がわかる金融商品取引法の基礎知識(四訂版)」

(税務経理協会刊/本体2,800円+税)

事業創造大学院大学准教授  鈴木 広樹

( 30頁)

金融商品取引法(以下「金商法」)は難解な法律である。本誌の読者の多くもそう感じているはずである。その金商法を解説している本書は,金商法が公布された直後に初版が刊行され,今回で四訂版となる。多くの読者を得ているわけだが,特に本誌の読者で利用されている方が多いだろう。公認会計士試験対策の教材(監査論や企業法)の参考文献とされることも多いため,間接的にお世話になった公認会計士の方も多いはずである。

多くの読者を得ている理由は,書名から読み取れるように,わかりやすさと実務への有用性である。随所に図表が織り込まれ,また,1項目が原則として見開き 2頁 で解説され,要点をとらえやすくなっている。

書名に「図解」を付すなどして,わかりやすさを強調している書籍には,わかりやすさを追求するあまり,重要な点が抜け落ちてしまっているものがある。また,実務への有用性を強調している書籍には,正確でない部分があるものがある。それに対して,本書は,わかりやすく,実務に役立つ書籍でありながら,網羅性と正確性を兼ね備えている。金商法の解説書としてだけでなく,実務書としても稀有な存在といえる。

こうした本書の筆者である小谷融氏の名...