在庫をチャンスに!~在庫流動化の現場実務の観点から~ 第1回 最適価格で売り時を逃さない在庫評価方法とは

株式会社リバリュー 代表取締役社長 向笠 元
株式会社リバリュー 経営企画マネージャー 藤井 厚
株式会社ドリームインキュベータ 経営管理グループマネジャー/公認会計士 小山 智士
株式会社ドリームインキュベータ ビジネスプロデューサー/公認会計士 矢代 枝理子

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経理業務の最大の課題は,通常業務をミスなく行うこと,ではなく,数字に表れていない,"見えない"問題をいかに発見し,対処するかということだろう。例えば,在庫管理である。経理処理上は問題がなくても,「貢献利益」ベース・全体最適の観点で考えれば問題を生んでいるケースが数多く存在している。

我々のこれまでの数百社にわたるコンサルティングやアセットリクイデーション経験では,会社の在庫管理の問題は,2つに大別される。すなわち,①実態を加味した在庫評価が行われていない,②在庫評価後,評価額に適した販売方針が採られていない,この2つである。圧倒的に①に該当する会社が多い印象だ。この2つに当てはまる場合,会社としては見えない損失が発生している可能性があることに十分な留意が必要だ。

以降数回にわたり,実務の観点から本課題解決への糸口をご紹介したいと考えているが,まず第1回目にあたる今回は,「①実態を加味した在庫評価が行われていない」という問題を中心に,商品を最適価格でタイミングを逃さず販売する仕組みをつくるポイントを解説したい。

実態を加味した在庫評価とは何か?

メーカー/卸/小売業では,在庫評価が実態と合ってい...