有価証券報告書 作成にあたっての留意点(平成27年3月期提出用)

公益財団法人 財務会計基準機構 企画・開示室 高野 裕郎

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Ⅰ はじめに

財務会計基準機構では,FASFセミナー「有価証券報告書作成上の留意点」を4月1日から14日にかけて全国9か所11回にわたり開催した。本稿は,主に同セミナーで説明した内容をもとに,平成27年3月期有価証券報告書の作成上の留意点についてまとめたものであり,「 退職給付に関する会計基準 」(以下「退職給付会計基準」という)等の適用に関する留意点や「 企業結合に関する会計基準 」(以下「企業結合会計基準」という)等を早期適用した場合の留意点を中心に解説する。

なお,文中意見にわたる部分は私見であることをあらかじめお断りしておく。

Ⅱ 退職給付会計基準等に関する留意点

1 退職給付会計基準等の適用

平成24年5月17日に企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という)から公表された退職給付会計基準では,①未認識項目の処理方法の見直し,②退職給付債務及び勤務費用の計算方法の見直し及び③開示の拡充を中心とした改正が行われており,適用時期は,①未認識項目の処理方法の見直し及び③開示の拡充については,既に平成26年3月期の有価証券報告書から適用されている。②退職給付債務及び勤務費用の計算方法の見直しについては,...