「IFRS適用レポート」の公表について

金融庁総務企画局 審議官 寺田達史

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本年4月15日,金融庁は,IFRSの任意適用企業における課題への対応やIFRSへの移行によるメリット等について取りまとめ,「IFRS適用レポート」として公表した。本稿では,同レポートの内容について,今後IFRSへの移行を検討している企業の参考となると考えられる事項を中心に紹介する。なお,文中,意見に亘る部分は,筆者の個人的な見解であることをあらかじめお断りしておく。

Ⅰ.経緯及び目的

2014年6月24日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014」において,「IFRSの任意適用企業の拡大促進」が明記され,そのための施策の一つとして「従来進めてきた施策に加え,IFRSの任意適用企業がIFRS移行時の課題をどのように乗り越えたのか,また,移行によるメリットにどのようなものがあったのか,等について,実態調査・ヒアリングを行い,IFRSへの移行を検討している企業の参考とするため,「IFRS適用レポート(仮称)」として公表するなどの対応を進める。」こととされた。

本レポートは,この閣議決定に基づき,IFRSの任意適用企業の実態調査・ヒアリングを実施し,その結果を取りまとめたものである。

Ⅱ.IFRS...