公認会計士・監査審査会「平成27年度監査事務所等モニタリング基本計画」について

公認会計士・監査審査会 公認会計士監査審査官 野村昭文

( 26頁)

公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)は,毎年度,当該年度の具体的な活動の方針を基本計画として策定している。

審査会では,これまでも,検査以外の監査事務所等に係る報告徴収,ヒアリング,関係先等との意見交換・連携等を通じた情報収集(以下「オフサイト・モニタリング」という。)に努めてきているところであるが,本年度は,このオフサイト・モニタリングを強化するとともに,オンサイト・モニタリングである検査と一体的に実施していくことをより明確にする観点から,基本計画の名称を「監査事務所等モニタリング基本計画」(以下,「基本計画」という。)に変更した。

審査会は,去る4月7日に平成27年度の基本計画を公表したところであり,その概要について説明することとしたい。

なお,文中意見にわたる部分は,筆者の個人的見解であることをお断りしておく。

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