組織内会計士に聞く! 第14回 「プレイヤー」としてのCFOの生き方

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株式会社サンウッド 取締役 澤田 正憲

これまでの略歴と組織内会計士になられた経緯を教えて頂けますか。

平成6年に太田昭和監査法人に入所し,上場企業の会計監査を担当しました。大手上場企業の監査を中心に,IPO案件のコンサルティングの補助業務なども手掛けていました。

その後,金融部に異動しメガバンクを担当していたのですが,金融ビッグバンの波に飲まれ大口のクライアントを失ったことを機に,転職を意識し始めました。転職するのであれば,自分が一番興味のあることをやりたいと考えて,これまでの仕事で一番面白かったIPOコンサルの仕事に就きたいと考えました。

会計監査の仕事は,野球で言うと審判のような立場の仕事です。株主,社会,経済のために,公正で客観的な立場から監査をするという意味では,やり甲斐のある仕事なのですが,監査は時として直接のクライアントであるお客様から煙たがられることもあります。一方で,IPOコンサルの仕事は,将来上場を目指している企業の内部管理体制作りのお手伝いをするのですが,お客様である会社の皆さんと一緒になって「改善していく」,「作り上げていく」感覚で仕事ができ,クライアントと喜びを共有できるという点に魅力と面白さを感じていました。また一方で,IPOの仕事であっても監査法人のコンサルタントとしての立場から関わる場合は,あくまでも「応援団」です。自分が「プレイヤー」として,自社のIPOに関わりたいという気持ちが大きくなり,IPOを目指す事業会社へ転職を決めました。

転職先は,シンプレクス・テクノロジー(現:シンプレクス。以下「シンプレクス」)という社員40名ほどの金融系システムのベンチャー企業です。私の組織内会計士としてのキャリアはここから始まりました。シンプレクスは入社後に大きく成長し,平成14年にIPOを実現してジャスダックに上場し,平成17年には東証一部に上場することができました。

シンプレクスには平成12年から平成25年まで,約13年間お世話になりましたが,この間に売上高は14億円から166億円と10倍以上に成長し,東証一部上場企業のCFOとして本当に貴重な経験をさせてもらいました。当時まだ30代前半で上場企業のCFOとして,そして経営陣の一員として多くの経験ができたことは本当にありがたかったです。

その後,シンプレクスは平成25年にMBOにより非公開化することを決定し...