基礎から学ぶ―IFRS保険会計 第16回 有配当契約‐欧州CFOフォーラムの提案とIASBによる再審議

有限責任あずさ監査法人 公認会計士 三輪 登信
 公認会計士 藤原 初美

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1.はじめに

前回( 本誌No.3213 )は,有配当契約 について,公開草案「保険契約」(ED/2013/7,以下「再公開草案」)の提案する会計処理の概要及び再公開草案に対して寄せられたコメント,懸念事項等を解説した。有配当契約の会計処理については,現在も活発な議論が展開されており,IASBは教育セッション等を通じて継続的に協議を行っている。

本稿では,有配当契約の会計処理について,CFOフォーラム が提案する測定アプローチ,及びIASBの検討状況を解説する。なお,本文中の意見に関する部分は筆者の私見である。

2.CFOフォーラムの測定アプローチ

再公開草案の提案するミラーリング・アプローチ に対しては,主に以下のような懸念が寄せられている(詳細は連載 第15回 を参照)。

・ 適用範囲が不明瞭かつ限定的である

・ ミラーリング・アプローチの適用対象となる保険契約とその他の保険契約間の会計処理に不整合が生じる

・ 履行キャッシュ・フローを分解することは実務上複雑である

2014年11月に開催されたIASBの教育セッションにおいて,CFOフォーラムはこれらの懸念を解決するための代替的な測定アプローチを提示して...