平成28年3月期第1四半期決算における法定実効税率の取扱い

新日本有限責任監査法人 公認会計士 吉田 剛

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1 はじめに

平成29年3月期決算以降に適用となる東京都における事業税の超過税率の改正(東京都都税条例等の改正)が,7月1日の東京都公報で公布された 。本稿では,当該改正を踏まえた3月決算会社におけるこの平成27年6月第1四半期決算での法定実効税率の実務上の取扱いを概説する。なお,文中意見に係る部分は筆者の私見であることを予め申し添える。

2 東京都都税条例等の改正

7月1日に公布された東京都都税条例等の改正により,平成28年4月1日以後開始する年度の東京都(外形標準課税法人)における事業税の超過税率は,【図表1】のとおり改められた。

【図表1】超過税率の改正

改正前 改正後 (参考)28年3月期の超過税率(*)
4.66% 2.14%(*) 3.40%
(*)平成27年3月期決算における税効果会計適用上の税率については,「3 27年3月期決算における取扱い」参照。

この条例の改正に先立ち,地方法人特別税の税率は,平成27年3月31日公布の地方税法の改正により67.4%から152.6%へと改められている。この結果,事業税(所得割)と地方法人特別税とを合わせた税率は,標準税率による税率が4.80%であるのに対し...