リサーチ・ペーパー第1号「のれんの償却に関するリサーチ」の公表について

‐IFRS第3号「企業結合」の適用後レビューの動向等を踏まえて‐

企業会計基準委員会 常勤委員 関口 智和
企業会計基準委員会 専門研究員 太田 実佐

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Ⅰ.はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)は,2015年5月に,リサーチ・ペーパー第1号「のれんの償却に関するリサーチ」(以下「本リサーチ・ペーパー」という。)を公表した。本リサーチ・ペーパーは,のれんの会計処理のあり方に関する国際的な議論に貢献するため,ASBJ事務局が行ったのれんの償却に関するこれまでのリサーチ作業の結果を取りまとめたものであり,最近国際的になされているのれんの会計処理に関する様々な議論を踏まえ,公表されたものである。

IASBは,2013年7月にIFRS第3号「企業結合」に関する適用後レビュー (PIR)を開始して以降,入手したフィードバック や米国財務会計基準審議会(FASB)の動向等を踏まえ,適用後レビューにおいて指摘された主な論点のうち,今後いずれを優先して取り組んでいくかに関する審議を行ってきた。IASBは,こうした作業や審議を踏まえ,2015年6月に,IFRS第3号の適用後レビューに関する報告書及びフィードバック文書(以下「フィードバック文書」という。)を公表している。

また,FASBにおいても,2014年1月に会計基準更新書 第2014-02号「無形資産,...