厳選!現場からの緊急相談Q&A 第13回 従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 上坂 岳大

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経理部員 :最近,従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引を行う企業が多くなっているようです。当社でも他社の事例を参考に,検討を開始しようとしています。企業会計基準委員会からは,実務対応報告第30号「 従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い 」(以下,「本実務対応報告」という。)が公表されていますが,どのような会計処理が行われることになるのでしょうか。
会計士 :ご認識のとおり,本実務対応報告は,従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引について会計処理にばらつきがみられたことへの対応から作成・公表されています。今回は,本実務対応報告に定められている会計処理を中心に確認していきましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

Q1 本実務報告が対象とする取引について

本実務対応報告が対象としている取引は,そもそもどのようなスキームになっているのでしょうか。

◆Answer◆

―Key Point―

・本実務対応報告が対象としている取引のスキームは,福利厚生を目的として,信託を用いて自社の株式を従...