「監査事務所検査結果事例集」の公表について

公認会計士・監査審査会事務局 審査検査室長 梅本慶治

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1.はじめに

公認会計士・監査審査会(以下,「審査会」という。)は,平成16年4月の発足以降,わが国における監査の品質の維持・向上,投資者保護等の観点から,監査事務所(監査法人,公認会計士)への検査を実施しているところである(平成26年度末までに累計109事務所)。

このような検査において認められた監査の品質管理に関する問題点については,検査先へ通知するだけではなく,検査を受けていない監査事務所や市場関係者も共有できるようにすることが有用であると考えられるため,主な指摘事例を「監査事務所検査結果事例集」として取りまとめ,平成20年度から公表し,年次で改訂している。

7月21日公表の平成27年度版の事例集においては,品質管理編と個別監査業務編で構成していた昨年度公表の事例集に,「根本原因の究明」を新設し,それぞれ以下の記載を行っている。

・ 「根本原因の究明」では,根本的な原因の検証の重要性について記載するとともに,根本的な原因はどのようなものかが理解できるよう,これまでの審査会検査において確認された根本的な原因について類型化し,事例を紹介している。

・ 品質管理編では,「指摘事例の原因分析」とし...