日本内部統制研究学会 第8回年次大会報告

青山学院大学大学院 教授 橋本 尚

( 42頁)

1.はじめに

去る7月18日(土),日本内部統制研究学会(八田進二会長)の第8回年次大会が,新潟青陵大学において開催された。以下,その概要を報告する。

2.特別講演

午前中の研究部会報告「企業集団における内部統制の研究」(研究部会長 弥永真生氏(筑波大学))と6つの自由論題報告に続いて,午後は,小田敏三氏(新潟日報社代表取締役社長)による「メディアを取り巻く課題と展望」と題する特別講演が行われた。

小田氏は,1997年をピークに発行部数,広告売上,県の人口などあらゆる指標が下落傾向にあるという地方紙のおかれている状況を説明され,社長として掲げた3つの指針を紹介された。第一に,ジャーナリズムの原点に返ることであり,そのためには,県民の普通の暮らしを守ることと,あらゆるしがらみからの自由が重要である。第二に,未来戦略として,「ビルド・アンド・スクラップ」の姿勢で,未来の読者を念頭に小学校高学年向けのこども新聞「ふむふむ」に続いて,2015年4月からは中学生以上を対象とした「ふむふむJ」を発行しているという。第三に,情報の流れのデジタル化への対応であり,地方諸紙との連携・情報共有の中で地域密着という...