厳選!現場からの緊急相談Q&A 第16回 のれんの会計処理

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 波多野 伸治

( 10頁)
経理部員 :当社は,事業規模拡大のため,先日同業のA社を買収しました。そこで計上されたのれんの会計処理について,主に償却年数の決定や将来の減損判定の実施方法などで悩んでいます。どのような点に留意する必要があるのでしょうか?
会計士 :それでは,今回は,(主に正の)のれんの会計処理について,基本的な考え方を復習しましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

Q1 のれんと税効果

のれんについて税効果を認識する必要はありますか。

◆Answer◆

―Key Point―

・(会計上の)のれん(または負ののれん)は取得原価の配分残余であるため,のれん(または負ののれん)に対する税効果は認識しません。

・税務上ののれん(資産調整勘定または差額負債調整勘定)が認識される場合においては,その額を一時差異とみて,将来の事業年度において回収または支払が見込まれない額を除き,繰延税金資産または繰延税金負債を計上した上で,配分残余としての会計上ののれん(または負ののれん)を算定することになります。

―解説―

企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関す...