厳選!現場からの緊急相談Q&A 第17回 種類株式の会計処理

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 和田 夢斗

( 12頁)
経理部員 :当社は,取引先が資金調達と自己資本の充実のために発行する複数の種類株式を購入することとなりました。上場株式と異なる有価証券となるため,おもに貸借対照表価額で悩んでいます。どのような点に留意して会計処理を行う必要があるでしょうか?
会計士 :種類株式は,一般的に上場していないことから市場価格がないことが普通であり,さらに個別銘柄ごとにさまざまな条件で発行されるため,会計処理も個別銘柄ごとに考える必要があります。基本的な考え方を確認しましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

Q1 将来,配当額が増額するため発行価額により償還されることが予想される種類株式

当社は,取引先である上場会社の発行したA種類株式を購入し,その他有価証券に分類して計上する予定です。A種類株式の発行条件は次のとおりです。

市場取引の有無なし配当条件・発行価額の2%相当額の非参加型累積型配当優先株式・発行から6年目以降,12カ月TIBOR+7%の配当。(以下「ステップアップ条項」という)転換条件なし保有者による償還請求権なし発行会社による償還...