中国子会社の見える化 第4回 会計監査の関連情報

有限責任あずさ監査法人 公認会計士 増田 進
 公認会計士 紫垣 昌利
 米国公認会計士 中村 祥子

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会計監査の関連情報

前回は,会社の中身の情報を「見る」ために,財務情報に焦点を当てて解説しました。財務報告書は,子会社の決算後に会計事務所の会計監査が入り,注冊会計師の監査報告書が添付された状態で発行されます。今回は,会計監査の側面から,見える化のための理解を深めたいと思います。取り上げる関連資料は以下の通りです。

(1)「監査報告書」が添付された「財務報告書」

中国の会社は,毎会計年度終了時に,財務報告書を作成し,会計事務所の会計監査を受けなければなりません( 会社法第164条 第1項)。会計事務所の選任や解任は会社の定款の規定に従い,株主会や董事会により決定すると規定されています( 会社法第169条 第1項)。

会社が作成した決算書は会計監査を経て初めて一般的な「財務報告書」となり,これが税務当局等に提出できるものとなります。財務報告書は注冊会計師の監査結果である「監査報告書」に添付される形で注冊会計師が所属する会計事務所が会社に提出します。

「財務報告書」は「会計基準」に準拠して作成されます。注冊会計師もこの「会計基準」に準拠して財務報告書が作成されているかを会計監査します。前回説明したように,現...