ちょっと役立つワインの小話 第16回 「ニューワールド」ワインのお話

日本ソムリエ協会 ワインエキスパート/ワイン検定講師 佐久間 裕輝(米国CPA)

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ワインショップなどの陳列棚で「新世界」或いは「ニューワールド」という分類を見かけることがあります。実はワインの産地は大きく「旧世界」と「新世界」のワインに分類され,「旧世界」はご存じの通り,フランス・イタリア・ドイツ・スペインなどが該当します。

一方,「新世界」ワインとはそうしたヨーロッパよりブドウ栽培や醸造技術などを取り入れワイン生産を始めた経緯を持つ国々を言います。今や「新世界」の代表格となるアメリカ・オーストラリアをはじめとして,ニュージーランド・チリ・アルゼンチン,そして日本や中国などが該当し,新しいところでは南アフリカなども非常に優れたワインを生産しています。一部にお値段も相当な高級ワインもありますが,一般的にはコストパフォーマンスが高いワインが多いと思います。

今後,そんな「新世界」ワインのお話をさせていただく予定ですが,まず御紹介したい国が「イスラエル」です。この国のワインは「新世界」に分類されて取り扱われていますが,実はワイン生産そのものを始めたのは紀元前となり,ブドウの生産に適した土壌と気候そして優れたワイン醸造技術を有していて,ローマ帝国各地に輸出するなど経済を支えてい...