ハーフタイム "画竜点睛を欠く"コーポレート・ガバナンス

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コーポレート・ガバナンスとは,法律や政治家によって治める国のガバメント(政府)と異なり,国よりも小さな組織である企業を,組織内部の人達によって支配し統治することである。ただし,組織内部の出身者だけでは経営トップにモノをいうことは難しいため,監査委員会メンバーの過半数は社外取締役としなければならない。2003年に委員会設置会社にいち早く移行した東芝はその先端を走ってきた企業である。だが問題が3つあった。①社内出身取締役2名(常勤)のうち1名は元CFO(不正会計を認識しながらCEOに直言できなかった人物)であり,②社外取締役3名の全員が財務会計についての知見を有せず,③補助スタッフとして財務経理関係者は配属されていなかった。形は最先端のコーポレート・ガバナンス体制にみえるが,実は「画竜点睛を欠く」体制だったのである。

第三者委員会報告書によれば,監査委員会は,不適切C/O(持越し問題案件)について議論することもなく,業務執行側に問題点を報告するとか指導した形跡もない(202頁,285頁参照)。こうした事態を招いた大きな原因は上記①にあり,彼が不適切C/Oを問題視しない以上,監査委員会は取り組...