組織内会計士に聞く! 第15回 米国での監査等,多彩な経験を活かして

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日本イーライリリー株式会社 財務経理部統括部長 平古場 篤志

これまでの略歴と組織内会計士になられた経緯を教えて頂けますか。

大学院を修了後,外資系一般消費財メーカーに就職し,経営管理本部に配属されました。そこで,管理会計を5年間担当し,製造コスト管理,利益予測および管理,新ブランド導入・新製品投入・プロモーション実施などの財務分析,ソーシングサイトの意思決定に関連した財務分析等に携わらせて頂きました。

その後,会計の専門家として,管理会計だけでなく財務会計分野の知識・経験を得たいと考え,日本の公認会計士となり,あずさ監査法人大阪事務所に入所しました。日本での上場企業の監査に加え,SECに上場する日本の会社のSOX導入対応・内部統制監査をさせて頂きました。2年弱の勤務の後,KPMG LLPのニューヨーク事務所に転職,北米東海岸にある日系子会社の財務諸表監査を主に担当させて頂きました。

その後,平成26年春にイーライリリーに転職しました。最初の6カ月間はアメリカ・インディアナポリスにあるグローバル本社で働き,10月に帰国,翌年1月より現職に就いております。監査に加え,財務会計・管理会計両方の経験があること,日本だけでなく,アメリカでも働いていたこと等が私のキャリアの特色になるかと思います。

現在のお仕事内容について教えて下さい。

日本のコントローラーとして,チームメンバーと財務会計,税務,財務,給与支払,受注関連,支払,経費精算業務等を担当しています。これらの中には,国外にあるシェアードサービスセンターと連携が必要な業務もあります。

直近の会計・決算実務でご苦労された点,特に力を注いだ点があれば教えてください。

最近,弊社では業務提携が活発となっており,日本の製薬会社と連携した販売活動等を行っております。これまでに弊社では経験のないような取引もあり,このような新しい取引を米国の会計基準に即してどう適切に会計処理していくかを決定しなくてはなりません。その際,グローバル本社の財務会計担当者や,日本だけでなく米国の外部監査人とも相談・確認しながら決めていきますが,最初の処理が肝心ですので,慎重に議論を進めていきます。

弊社の親会社はSEC上場企業なのですが,グローバル本社の財務会計チームにはBig4出身のいわゆる組織内会計士が沢山います。彼らと議論を適切に進め,会社として財務諸表作成の責任を...