IFRSをめぐる動向 第80回 IFRS第3号「企業結合」の適用後レビュー結果を受けた,IASB/FASBの審議状況

PwCあらた監査法人 公認会計士 富田 真史

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1.はじめに

本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)の月次合同会議等での討議内容に基づき,IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。今回は,IFRS第3号「企業結合」の適用後レビュー(Post-implementation review)の結果を受けて行われた2015年9月と10月のIASBの審議状況について取り上げます。

IASBは2015年6月にIFRS第3号の適用後レビューの実施結果をフィードバック・ステートメントとして公表しました。その結果を受けて,IASBは2015年9月にFASBと合同会議を,2015年10月にはIASB単独での会議を行い,適用後レビューで取り上げられた各論点のうち,特に重要とされた4つの論点について,今後の検討方針が議論されました。以下では,これらの論点に関するIASBの検討状況について,関連するFASBの検討状況とともに紹介します。

なお,文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りしておきます。

2.プロジェクト全体の概要

IASBの適用後レビューでは,IFRS第3号に関連する12の論...