シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第4回 純利益とキャッシュフローについて

慶應義塾大学商学部 教授 西川郁生

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木村太一君 「資産負債アプローチ」,「公正価値測定と取得原価測定」,「純利益と包括利益」と一巡して,資産負債の測定と利益の関係のお話を伺ったと思いますが,本日はどのようなテーマになりますか?

教授 前回のところで,「永劫(超長期)の期間を通じて,資本取引を除いたキャッシュフローのネット合計と純利益の合計が一致することが必要」と言いました。今回,これを純利益と純キャッシュフローの全体一致と呼ぶことにします。その上で,一巡の最後に純利益とキャッシュフローについて投資家の将来予測という視点から整理しておきましょう。その話の結論を出したのちにキャッシュ・フロー計算書(以下,CF計算書)にも少し触れたいと思います。

2つの将来キャッシュフロー

木村君 メーンテーマは投資家が予測する将来キャッシュフローですね。資産の公正価値というのは,その資産が生み出す将来キャッシュフローの割引現在価値と理解しています。保有株式についてもそれが当てはまると思います。

教授そうです。したがって,資産価値を知るための将来キャッシュフロー予測は欠かせません。保有債券の場合,固定利付など,将来キャッシュフローは確定しているので,あとは...