いまさらきけない会計基準等と実務のポイント 第4回 ストック・オプション

新日本有限責任監査法人 公認会計士 石井 隆之

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1.はじめに

ストック・オプション制度は,役員や従業員等のモチベーションと企業価値の向上をリンクさせるインセンティブ制度として,あるいは資金の乏しい上場前の会社が優秀な人材を確保するための手段として,平成13年の商法改正により新株予約権制度が導入されて以降,広く普及しています。

今回は,このストック・オプション制度に関する会計処理について解説していきます。

2.ストック・オプションの概要

ストック・オプションとは一定の期間内にあらかじめ決められた価格で,会社から株式を取得することができる権利で,役員や従業員に対する報酬の一環として付与される制度です。

ストック・オプションの権利行使にあたっては,権利を与えられた当初から決められている行使価格に基づいて払込みが行われます。通常その権利を行使できる期間として一定の期限が設定されており,期限を過ぎると失効することになります。

ストック・オプションは,通常無償で発行されることが多く,新株予約権の有利発行に該当することから,株主総会での特別決議が必要となり,さらに取締役に対して付与する場合は取締役の報酬に関する決議も併せて必要となります。

一方,権利の付与が無...