Q&Aコーナー 気になる論点(149) IASB概念フレームワークの公開草案(15)

―ASBJのコメント③:概念フレームワークの役割―

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)が2015年5月28日に公表した公開草案(ED)「財務報告に関する概念フレームワーク」(概念ED)に対し,企業会計基準委員会(ASBJ)は,2015年11月30日にコメントレターを提出しています。そこでは,概念フレームワークの役割についてコメントをしていますが,それはなぜでしょうか。

A

概念EDにおいて,概念フレームワークには複数の役割があることが提案されていました。ASBJのコメントレターでは,概念フレームワークの主たる役割について,IASBは,以下の理由から,首尾一貫した概念に基づく基準開発を支援するものであることを明確にすべきとしています。

・ 主たる役割を明示しない場合,概念フレームワークに何を記述すべきなのかに関する判断が不整合となり,それによって記述の首尾一貫性が低下するほか,焦点が弱くなる。

・ 健全で堅牢な概念フレームワークは,高品質な会計基準の開発に貢献することが期待され,それにより,財務情報の質の改善に大きく貢献することが期待される。

<解説>

概念フレームワークの役割(1)‐現行

現行のIASB概念フレームワークの「はじめに」において,当該概念フ...