ハーフタイム 事業再編と会計情報の関係

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つい最近まで会計のグローバル・スタンダードといえばUS・GAAPであり,最初に理論化・体系化したのはアメリカ会計学会(AAA)だった。いまからちょうど100年前の1916年に設立され,1966年には「基礎会計基準の理論」(ASOBAT)を公表した。今年はUS・GAAPの記念すべき年であり,わが国にも影響を与えたASOBATは読み直す意義がある。

それはまず,目的適合性,検証可能性,不偏性,数値化の可能性といった4つの会計基準を同列に重視した。概念フレームワークの原初形態でもあるが,目的適合性,検証可能性のように互いにトレード・オフの関係にあるものを同列に扱っていた。そのわけは,外部投資家への意思決定情報の提供だけではなく,経営管理のための情報提供も会計目的と考えたからであろう。外部向けと内部向けをともに重視し,4つの会計基準は"あれも必要これも必要"とみた。外部者にとっては将来の不確実性に対応するため,検証可能な情報だけでなく,統計的にみて将来発生すると推定される費用も(公正価値測定によるものとは次元が異なるが)必要な情報である。経営者にあっては,株主に対する受託責任(当時はAgency...