Q&Aコーナー 気になる論点(155) IASBのリース会計基準(5)

-初期直接原価の取扱い-

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)が,2016年1月に公表したIFRS第16号「リース」において,借手は,原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上することとしていますが,従来のオペレーティングリース(OL)に該当するものについても,初期直接原価を資産化するのでしょうか。

A

はい。IFRS第16号において,借手は,従来のファイナンスリース(FL)のみならずOLに該当するものについても,初期直接原価を資産化することとしています。

<解説>

初期直接原価の取扱い(1)‐IAS第17号

IAS第17号において,初期直接原価(initial direct cost)は,製造業者又は販売業者である貸手に発生する原価を除き ,リースの交渉や締結に直接起因する増分原価 (incremental cost)とされています。

IAS第17号では,リース資産の所有に伴うリスクと経済価値に基づいて,FLとOLに分類し,借手と貸手は,初期直接原価を以下のように取り扱うものとしています。

借手貸手FL資産として認識した金額に加算する(20項,24項)。正味リース投資額の当初測定値に含め,リース期間にわたり認識...