Q&Aコーナー 気になる論点(156) IASBのリース会計基準(6)

‐サブリースの取扱い‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)が,2016年1月に公表したIFRS第16号「リース」において,借手は,原則として1つのリースに分類し,貸手については2つに分類することとしています。この場合,サブリースは,どのように取り扱われるのでしょうか。

IFRS第16号において,転貸者は,原リースとサブリースを,借手と貸手の両方の会計基準を適用する2つの別個の契約として会計処理すべきとしています。具体的には,転貸者は,原リースの借手として,使用権資産とリース負債を認識し,また,サブリースの貸手として,原リースから生じる使用権資産を参照して,サブリースを分類します。

<解説>

リースの分類

現行のIAS第17号「リース」では,わが国の会計基準と同様に,リースをファイナンスリース(FL)とオペレーティングリース(OL)の2つに分類しています。

しかし,まったく異なる2つのリース会計モデルにより,類似の取引が著しく異なる方法で会計処理され,取引を仕組む重大な機会が生じてしまうという懸念などから,IASBは,2010年8月に公開草案(ED)「リース」(2010年ED)を公表し,リースを借手は1つの分類(使用権モデル...