平成28年度税制改正を反映した税率の算定と関連する論点の解説
新日本有限責任監査法人 公認会計士 吉田 剛
はじめに
平成28年度税制改正に係る法律案が,平成28年3月29日に参議院で可決・成立した。これにより改正された法人税法及び地方税法には,昨年度の税制改正に引き続き,法人税率及び法人事業税率の引下げが含まれており,平成29年3月期の(標準税率ベースの)法人実効税率 ① は,30%の大台を下回り,29.97%となった(計算方法の詳細については後述する)。
本稿では,この決算から変更となる会計上の取扱いと併せて,平成28年3月31日を期末日とする決算において適用となる税効果会計に係る税率の算定,及び開示を含む関連する論点に関し,実務上の取扱いも交えて解説する。
なお,文中意見に係る部分は筆者の私見である旨,予めお断り申し上げる。
1 税効果会計の対象となる税金及び適用される税率
(1) 税効果会計の対象となる税金
税効果会計は,法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金(以下,「法人税等」という)を対象として適用される(「税効果会計に係る会計基準」(以下,「税効果会計基準」という)第一)。より具体的には,法人税(地方法人税を含む),法人住民税(都道府県民税及び市町村民税),及び利益に関連する金額を...
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