厳選!現場からの緊急相談Q&A 第27回 繰延税金資産の回収可能性(1)

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 石川 慶

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経理部員 :当社では,平成27年12月28日に公表された回収可能性適用指針が,平成29年3月期の期首から適用されます。この回収可能性適用指針に基づき,繰延税金資産の回収可能性を検討するにあたって,どのような点に留意すればよいでしょうか。
会計士 :それでは,本日は,回収可能性適用指針の概要と適用初年度の留意点を中心に確認していきましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

注釈
本稿では企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(最終改正平成28年3月28日)を「回収可能性適用指針」,監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(平成11年11月9日)を「監査委員会報告第66号」,会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(最終改正平成28年3月25日)を「個別税効果実務指針」,企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(平成21年12月4日)を「過年度遡及会計基準」といいます。

Q1回収可能性適用指針...