Q&Aコーナー 気になる論点(159) IFRSと米国基準(2)

‐リースの会計処理に関する相違‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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米国財務会計基準審議会(FASB)が2016年2月25日に公表した会計基準更新書(ASU)第2016-02号「リース(Topic 842)」では,国際会計基準審議会(IASB)が,2016年1月13日に公表したIFRS第16号「リース」と同様に,借手は,原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上することとしているのでしょうか。

A

はい。ただし,ASU第2016-02号では,借手において,IFRS第16号のようにリースを1つに分類する方法ではなく,2つに分類する方法を採用しています。

<解説>

リース会計に関するプロジェクト

これまで米国基準でもIFRSでも,借手は,オペレーティング・リース(OL)から生じる資産・負債を認識していませんでした。借手の会計処理が財務諸表利用者のニーズを満たしていないといった批判に対応して,FASBとIASBは,リースの財務報告を改善するための共同プロジェクトを実施してきました。

2009年3月には,共同でディスカッションペーパー(DP)「リース:予備的見解」(2009年DP)を公表し,借手に使用権モデルを提案していました。しかし,2009年DPでは...