コーポレートガバナンス・コード~2年目の対応に向けて~ 第3回 ガバナンス強化,企業文化の醸成に資する独立社外取締役に期待される役割

~昨今の不祥事件を踏まえて~

PwCあらた監査法人 パートナー 辻田 弘志
PwCあらた監査法人 マネージャー 森 洋介

( 42頁)

はじめに

本シリーズでは,上場会社のコーポレートガバナンス・コード(以下「コード」)対応2年目の参考に資するため,「説明」(エクスプレイン)率が高い原則について解説している。第3回目の本稿では,原則4‐8および補充原則4‐10①を取り上げる。コードで求められる独立社外取締役2名以上の選任状況と課題を概観し,「独立」の意味について考察,昨今の不祥事件の根本原因の考察を踏まえ,実効性ある原則4‐8の要件と,独立社外取締役に期待される役割について解説し,各上場企業における検討の一助となることを意図している。

なお,意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であることをあらかじめお断りする。

1. コードで求められる独立社外取締役の要件,役割

我が国の上場会社に対して2015年6月1日より適用となったコードでは,その原則4‐8および補充原則4‐10①において,独立社外取締役の選任を求め,独立社外取締役による関与・助言について述べている。

原則4‐8独立社外取締役の有効な活用独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり,上場会社はそのような資質を十分に...