公認会計士・税理士　和田　正次

４　企業価値・株式価値評価の手法（株価を高めることの意味も理解する）

使おう！管理会計も今回が最終回となりました。今回のテーマは企業価値向上のための企業価値評価・株式価値評価です。

企業価値向上のための評価を行う場面として，２つのケースを想定しております。１つは設備投資と同様に，事業投資（企業買収）の意思決定のための投資対象会社の企業価値・株式価値評価，そしてもう１つは企業価値向上が進展しているかどうかを確認するための自社の企業価値・株式価値評価です。

企業価値向上は将来に向けての持続的業績向上により実現します。本シリーズを総括する最終回にあたって，今回の解説には関連する過去の「使おう！管理会計」の解説箇所（発行ナンバーとページ）を記載しております。併せてご参照ください。

１．企業価値創造サイクルから評価方法を考える

（１）図解：企業価値創造サイクル

企業価値評価といえば，その評価手法を中心に論じられることが多いと思いますが，ここでは企業価値の発生現場に注目してみましょう。

以下は企業価値が生み出されるプロセスを図解したものです。創造された価値を評価し，株式を売買する市場も含めて企業の営業・投資・財...