コーポレートガバナンス・コード~2年目の対応に向けて~ 第4回 情報開示の充実(原則3‐1)

PwCあらた監査法人 公認会計士 井坂 久仁子

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はじめに

コーポレートガバナンス・コード(以下,「CGコード」)が2015年6月から適用され,3月期決算の上場会社にとっては,2度目の「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(以下,「ガバナンス報告書」)更新の時期が近づいている。本連載では,1年目のガバナンス報告書で,「実施していない」として説明(エクスプレイン)する会社の多い原則等について取り上げており,本稿では,主にコーポレートガバナンスに関する情報開示(原則3‐1)について検討する。

東京証券取引所(東証)の調査によると,2015年12月末までに,CGコードに対応した新様式のガバナンス報告書を提出した企業1,858社(東証市場第1部,第2部合計)のうち,エクスプレインをする企業の多い項目のひとつが,「原則3‐1 情報開示の充実」に関連するものであり,特に,原則3‐1および補充原則3‐1②については,それぞれ,522社および479社がエクスプレインをしていた

なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であることをあらかじめお断りする。

1.「情報開示の充実」が目指すもの

いうまでもなく,情報開示の充実は,それ自体が目的というよりは,開...