東芝の債務超過回避と巨額の子会社売却益
‐巧妙な買収スキームは何のため‐
駒澤大学教授 教授 石川純治
( 16頁)
再び怪しい東芝問題の浮上‐子会社の巨額売却益
昨年発覚した東芝の会計不祥事(不正決算)は記憶に新しいが,2016年3月期決算にあたり再び怪しい会計問題が浮上している。東芝のキヤノンへの子会社売却益をめぐる問題である。それは債務超過回避の目的で,法(会社法,競争法)と会計(3月決算で売却益計上)とが巧妙に組み合わされた,トリックまがいの手法ともみえる ① 。
今回の東芝問題は,昨年とは異なって,会計判断だけで片づく問題というより ② ,むしろそれに先立つ法的問題(買収スキーム)が重要なポイントになり,それがまた読者にとってまずもっての関心事になるだろう。
重要なことは,後述するが,その全体的な意図や実体(買収...
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