Q&Aコーナー 気になる論点(162) 発行済株式数

‐自己株式数の控除との関係‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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2016年4月18日に,金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ(WG)から公表された報告書では,今後,有価証券報告書の「大株主の状況」における所有株式数の割合を,発行済株式総数から自己株式数を控除して算定するように提言しています。これは,なぜでしょうか。

A:

ディスクロージャーWGから公表された報告書では,有価証券報告書において,自己株式数の情報は「議決権の状況」等でも開示されていることを考慮すると,「大株主の状況」においては,会社法における事業報告の「上位10名の株主の状況」の記載と同様に,発行済株式から自己株式を控除することによって共通化を図ることが適当であるとしています。

<解説>

ディスクロージャーWGの報告書

2016年4月18日に,金融庁の金融審議会ディスクロージャーWGは,企業の情報開示のあり方等についての検討を踏まえ,「ディスクロージャーワーキング・グループ報告‐建設的な対話の促進に向けて‐」を公表しました。

当該報告書では,建設的な対話の促進に向けた開示のあり方に関する基本的な考え方として,欧米の制度や実務も参考に,現在の開示制度を見直し,全体として,より適時...