グループ会計の論点シリーズNo.3 合併か買収か
フジタ国際会計コンサルティング(株) 代表 藤田敬司
はじめに
シリーズNo.2( 本誌No.3261参照 )ではM&Aの基本形4つを列挙し,わが国会社法をベースとして,それぞれの特徴をレビューした。今回は,次の論点(パーチェス法か取得法か)に移る前に,基本形4つのうち合併と買収の関係について,次の5点を追加しておきたい。
1.合併と買収の会計処理の共通性
2.合併と買収の会計処理の違い
3.合併と買収の経済実態は同じとみられるケース
4.外国企業の合併と買収のかたち
5."合併か買収か"に係る判断基準
合併と買収の共通性と相違点について深堀する目的は,結合後のグループの経営管理や組織再編において大きな違いをもつところから,その備えに必要な視点を得ることである。
1.合併と買収の会計処理の共通性
2007年改訂のSFAS141R,IFRS3以降,合併にも買収にも共通して取得法(acquisition method,わが国基準では2008年改訂以降もパーチェス法)を適用する。取得法の特徴は,図表1による持分プーリング法やフレッシュ・スタート法との大雑把な比較から分かるように,結合企業側は簿価のまま据え置く一方,被結合企業側の支配取得日における全資産負債(簿外資産...
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