書評 宝印刷・総合ディスクロージャー&IR研究所編「適時開示の実務Q&A」

(2016年・商事法務刊/本体3,800円+税)

西村あさひ法律事務所 弁護士 町田行人

( 28頁)

本書は,ディスクロージャー関連書類の印刷を専門とする会社として長年ディスクロージャー制度の実務に携わってきた宝印刷株式会社が開設した総合ディスクロージャー&IR研究所によって,適時開示に関する今までの個別相談などにより把握した問題点を踏まえて,適時開示の実務についてQ&A形式でまとめられたものである。

本書は,第1編「適時開示に関する概論」と第2編「各論」の二編で構成されている。

第1編では,適時開示制度の概要について解説されている。適時開示は,取引所の規則に基づく開示制度であり,証券市場を開設している自主規制機関が上場会社に対して義務付けている企業内容等に関する情報開示制度である。他方,法定開示として金融商品取引法に基づく臨時報告書などの制度もある。これらの関係や違いについてはわかりにくいところであるが,第1編では適時開示と臨時報告書などとの関係や違いについても詳しく解説されており参考となる。

第2編では,提出事由ごとに,適時開示の提出に際してよくある質問を抽出したうえ,「質問」「回答」「関連規定」「記載事例」という構成でQ&A形式で取りまとめられている。質問内容については,実際,上場会社...