先読み 会計・監査トレンド Topic 3 社会福祉法人監査の開始を控えて

 公認会計士・税理士 佐久間 裕幸

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1.社会福祉法人監査の制度化

平成28年3月31日に社会福祉法の改正が可決され,社会福祉法人のガバナンスを始めとする各種の改正がスタートすることになった。この法律は,本来,1年前の第189回次の国会に提出されたものであり,継続審議の結果,1年遅れで可決成立したものである。そのため,各種の改正事項のスタートまで1年以上の余裕が置かれていたはずのものが,1年ずつ短縮される形で執行されようとしている。

こうした項目の1つが社会福祉法人への監査の制度化である。改正社会福祉法第37条に特定社会福祉法人(その事業の規模が政令で定める基準を超える社会福祉法人をいう。第46条の5第3項において同じ。)は,会計監査人を置かなければならないという条文が置かれた。この一定の事業規模については,社会保障審議会福祉部会報告書(平成27年2月12日)において,収益(事業活動計算書におけるサービス活動収益)が10億円以上の法人または負債(貸借対照表における負債)が20億円以上の法人とすることが適当とされたところである。

ところが,平成28年5月20日に開催された第17回社会保障審議会福祉部会の資料1では,社会福祉法人の都...