平成28年6月第1四半期決算における税効果会計に適用する税率の取扱い

新日本有限責任監査法人 公認会計士 吉田 剛

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1 はじめに

平成30年3月期決算以降に適用となる東京都における事業税の超過税率に係る改正(東京都都税条例等の改正)が,6月15日の東京都議会で成立した 。これも踏まえ,本稿では,3月31日を決算日とする企業における,この平成28年6月第1四半期決算の税効果会計に適用する税率(以下「税効果税率」という。)の実務上の取扱いを概説する。

なお,文中意見に係る部分は筆者の私見であることを予め申し添える。

2 税効果会計に適用となる税率(税効果税率)

法定実効税率は,(図表1)の算式で計算する(企業会計基準適用指針第27号 「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(以下「税効果税率適用指針」という。)第3項 (4))。なお,図表中の「法人事業税率」の箇所は,平成30年3月期よりそれまでの地方法人特別税が法人事業税へと復元されることとなっており(後述3(2)③参照),平成29年3月期までは「法人事業税率+法人事業税標準税率×地方法人特別税率」となる。

(図表1) 法定実効税率の算式

また,税率変更があった場合の取扱いは,平成28年3月期決算より税効果税率適用指針が適用になったことで,これまでのいわゆる「公布...