CPAAOB 監査事務所検査結果事例集を改訂

形式的突合のみで異常な利益率を見落とす事例も
( 03頁)
公認会計士・監査審査会(CPAAOB)は,7月29日付で平成28年版「監査事務所検査結果事例集」を取りまとめた。監査事務所に監査の品質向上に向けた自主的取組を促す等のねらいがある。28年版では,昨今の不正会計事例を鑑み,「財務諸表監査における不正」に関する記載を充実させた。例えば,「不正リスクを十分に検討することなく,形式的に仕訳テストを実施した」等の事例を紹介している。

収益認識には不正リスクがあるとの推定を

CPAAOBは,監査品質向上等の観点から,監査事務所の検査を実施している。検査の主な指摘事例は「監査事務所検査結果事例集」として取りまとめ,年次で改訂している。28年版では,品質管理等について大手監査法人と中小監査事務所で区分したほか,不正に関する記載を充実させた。「財務諸表監査における不正」では,以下の事例等を紹介している。

<事例>仕訳テスト被監査会社は,標準原価の改訂により製品単価が上昇したことに伴う原価差異を,決算整理仕訳において売上原価から控除し,棚卸資産に計上している。これについて,監査チームは,標準原価の改訂は事業環境から合理性があると判断し,また,被監査会社の適切な承...