書評 金子 智朗 著 『新・会計図解事典』

(日経BP社刊/本体2,400円+税)

公認会計士  太田達也

( 22頁)

1.会計の必要性

企業の経済活動の状況およびその成果を正しく把握し,理解するために,会計は必要不可欠である。会計は言語であり,それに対する的確な理解があって,初めて企業の経済活動の実態や成果を理解することができる。この必要不可欠な言語を習得することが経営者を始めとするビジネスマンに強く求められているといえる。その点について,本書の序論ではいみじくも「会計という言葉が分からなければ,日常生活が成り立たない。会計という言葉が分かることによって,初めてビジネスの世界でコミュニケーションが成り立ち,ビジネスの世界における思考が分かる。」と表現している。非常に適切な表現である。

組織再編,M&A,会社法,コーポレートガバナンス,ROEを始めとする財務指標など,企業経営と会計・財務は切っても切れないのである。

本書の各用語の説明は,字句としての意味というよりも,「ビジネスとしての意味」,「働く者にとっての意味」であると説明されている。まさに,ビジネスマンがビジネスを行っていくうえでの生きた知識を習得するための書であるといえる。ビジネスの世界で活用していくためには,生きた知識でなければならないからである。...