ハーフタイム AI時代の働き方

( 24頁)

人工知能(AI)を使って新薬(抗がん剤)のもとになるシーズ(種)と呼ぶ新規物質,それをみつける厚労省プロジェクトを喧伝する新聞記事(9月22日付け日経)は次の書き出しで始まる。「AIは自ら学習し,考えるコンピュータのプログラムだ。国内外の大量の論文やデータベースを読み込ませると,自ら学習して見つけたシーズを動物実験などで検証し,AIがさらにその結果を学んでその能力を高めていく」。この記事の"自ら学習し云々"いう部分に目を取らわれると,AIは人間より優秀になると思ってしまう。将棋ソフトがプロの将棋名人を負かしたニュースを思い出すと,職場を追われる日が近いような不安に襲われる。ビッグデータを駆使するAIが発達すると,普通のホワイトカラーだけでなく高年収の専門職でもAIで「代替」されると錯覚する。しかし,記事を少々注意深く読めば,AIを開発し大量のデータを"読み込ませる"のは××法人や○○研究所の人間達である。AIやロボットが自律的に学習するのではなく,あくまでも人間が予め組み込んだプログラムに従って大量のデータを他律的に整理するにすぎない。ロボットの学習能力が人間の脳を上回り「代替」する日...