会計監査の在り方に関するラウンド・テーブル報告記 ‐我が国会計監査の信頼性確保に向けた針路を探る

青山学院大学大学院 教授 八田 進二

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日本監査研究学会主催
協賛 日本公認会計士協会・日本内部監査協会・日本監査役協会

1.本ラウンド・テーブル開催の趣旨

「監査研究の推進および監査研究者の相互の交流をはかることを目的とする」日本監査研究学会は,研究・教育機関等に属する会員と監査実務に従事する会員から構成されていることから,我が国の監査制度の改革等に関しては,多くの会員が関心を抱いている。

周知のとおり,昨年の東芝の不正会計事案等を契機として,改めて我が国の会計監査の信頼性が問われているとの問題意識の下,金融庁は,去る3月8日,「会計監査の信頼性確保のために」と題する「会計監査の在り方に関する懇談会」での議論をまとめた提言書を公表したのである。同提言書では,会計監査の信頼性確保に向けて講ずるべき取組みとして,以下の5つの柱からなる具体的施策を提言している。

(1)監査法人のマネジメントの強化

(2)会計監査に関する情報の株主等への提供の充実

(3)企業不正を見抜く力の向上

(4)「第三者の眼」による会計監査の品質のチェック

(5)高品質な会計監査を実施するための環境の整備

ここに示された取組みおよび具体的施策においては,会計監査が社会的なイン...