ハーフタイム GDP統計と無形資産

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一国の経済成長の指標であるGDP統計は,企業の財務報告とは目的も方法も異なるが,無形資産の扱いには共通した欠陥があり,グローバル基準形成への試みも共通している。

国連はR&D経費を資本(会計的には無形資産)として扱う方向に転換し,わが国内閣府もGDPの推計方法を見直すことになった(2016年9月16日付け日経新聞)。なお,GDP統計の見直しは,四半期速報を年率換算し,後日大幅修正される内閣府基準から税務データを使った確実性重視の統計へ変更する案や,防衛装備品も「抑止力を含めた潜在的な防衛サービス」として捉える話も聞くが,ここでは無形資産の資本化に絞る。

わが国では,周知のように包括的な無形資産会計基準の設定が遅れている。2002年に政府が知的財産戦略大綱を発表してから早や14年。産業界の無形資産に対する関心は高まり,最近の企業買収では知的資産など企業競争力のある無形資産を狙った企業買収はとみに大型化している(ソフトバンクによる英半導体開発企業買収案など)。ところが,無形資産の扱いに係る内外会計基準の隔たりは依然として大きく,いまだ収斂する気配はみられない。国際的なM&A会計基準でいう無形資...