世界の会計事務所から 第8回 カンボジア 後発開発途上国の憂鬱
KPMGカンボジア事務所 マネジャー 田村 陽一
1.源泉徴収しない源泉徴収税
「税金って売上がなくても毎月こんなにかかるものですか?」
カンボジアで初回の税務申告書ドラフトをクライアントに送ると,このような反応が返ってくることも多い。
「そうですね。事前にご説明したように,御社が支払うサービス料やリース料の多くに源泉徴収税がかかります。この税金は売上や利益の有無に関係なく発生するので,今後も同じくらいはかかると見ておいた方がよいと思います。」
「そうですか...」
カンボジアでは,事業会社における主要な税金は毎月税務申告を行う必要があり,具体的には,前払法人税,個人所得税,VAT(Value Added Tax,付加価値税),源泉徴収税の4つの税目がある。このうち,源泉徴収税の課税対象には,支払サービス料や支払リース料等が含まれる。一般に,事業会社では毎月各種サービス料やオフィスリース料の支払いがあるが,税法上の課税対象取引が広範であり,かつ税率が高いため,源泉徴収税が比較的多額に発生する(次頁表参照)。また,日本の税制では,多額の源泉徴収税が生じるケースは多くないため,カンボジア進出直後の日系企業では源泉徴収税の金額が想定以上であるというサプラ...
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